アントニオは、一瞬余裕をなくしたような表情を垣間見せ、虎徹の頭を引き寄せ口づけた。
互いに舌を絡ませ、唾液を分け会うキスの間、太い指がズブズブと虎徹の穴を犯し始める。
生まれて初めての異物感に身を固くしていたら、髪を撫でる優しい感触が与えられた。
(どんなツラしてやがんだ…)
上目遣いにアントニオの顔を見ると、自分のアナルを指で犯していた男はこれまで見たことがない、イヤラしい表情で笑っていた。
にちゃにちゃと響く粘膜を掻き回す音も、素っ裸でそれを受け入れている自分のみっともないかっこうも急に恥ずかしくなって、思わず下を向く。
この男は自分のこんな姿をどう思っているのだろうか?
今まで親友だと思っていた男の別の一面にも動揺が隠せなかった。
自分が暴かれてゆきそうで恥ずかしいとか怖いとかさまざまな感情が渦を巻く。
アントニオは自分にやらしい事をするのが楽しくて堪らないみたいだが、さっきの色違いの糸で付けられた釦や黒髪の女性の輪郭なんかがぼんやりと
頭の中に浮かび、頭のなかは混乱し続けていた。
アントニオは虎徹の混乱に気づいているのかいないのか、自分の胸に顔を埋めるようにして肩で息をする男の頭を撫で、それまでアナルの入口付近を
掻き回していた中指を根本までズブリと埋め込ませた。