第607話妄想
「魚人島か…」
「拝啓ジジイ」
「遂にオレは…念願の人魚ちゃん達を視姦…ぐはあ!!」
アホな独り言を呟いていたコックが、脳裡に人魚の姿を浮かべたとたんまたしても大量の鼻血を吹いた。
「想像だけでこんな…!!恐るべしマーメイドパワー…」
「…アホか」
さっきからその様子を見物していた剣士が呆れ顔で一言。
「んだと!!テメエもマーメイドパワーでちっとはホモを治しやがれ!!」
「ああ?誰がホモだ!!」
「テメエだよ!!ところかまわずサカりやがって」
「…し、しかも…!!」
そう…ついつい深海でのシャボン内Hが盛り上がりすぎて、ヤってる現場をばっちりルフィに見られてしまったのだ。
「お前もしつけーな。見られちまったモンはしょ〜がね〜だろ」
「ふ、ふざけんな!!
テメエはチンコしかだしてねぇからいいかもしれねえけどなあ…俺なんかなあ…!」
そう…あんなトコロにずっぽり入ってるところを見られた上、試してみてえとまで言われたのだ。
(しれっとしやがってクソむかつく)
何かダメージを与えてやらねば気がすまない。
(なんかねえか…おそうだ!)
「…も〜当分ヤんのナシな」
「ああ?ふざけんな!!!!」
予想通り食い付いてきた。
「ふざけてねえよ。昨日だって何回ヤったと思ってんだ。カラダもたねえよ」
ちょっと辛そうに言ってみる。
(こんぐれえ言ったっていいよな!ったく人が頑丈だからって散々好き勝手しやがって)
すると
「…つれえのか…?」
いつになく真面目な表情にドキリとする。
「…いや…つれえってか…ホラ、オレはテメエと違って朝もはえーし…」
(ってなにフォローしてんだオレ…!そこはちげえだろ!!)
(でも…そんな顔されたら困る…)
(なんかまるで俺のこと気遣ってるみてえじゃねえか…)
俺様なゾロには慣れっこだが、ヤるようになって以来こんな風に言われたのは初めてだった。
赤くなってもじもじしていると突如ゾロの片方の目が「カッ!!」と開いた。
(え?)
「…テメエ…人が珍しくガマンしてやろうと思ったのに」
「は?」
一体どうしたのか…とポカンとしていると、
「んなカワイイツラすんじゃねえよ!!!!」
言うやいなや、腕を乱暴に引き寄せられ、ゾロの懐にすとんとおさまる。
そして噛み付くようにキス。
(ちょ…おい!!ここ外…!!)
深海でヤっておきながら外もクソもないのだが、さっきのよ〜にまた流されるワケにはいかない。
だが、口内を縦横無尽に動き回る舌を感じるうちに、抗おうとする気力が萎えてゆく。
(…クソ…なんでコイツとキスすんの…こんなにキモチーんだよ…)
ゾロの上着をギュッと掴みながら必死にマーメイドちゃんマーメイドちゃん…と呪文の様に唱えてみるも、既に半勃ちコックの頭の中は、この汗臭い男にイロイロされたい性的な欲求で
いっぱいいっぱいだ。
ふいに唇を離され、思わず 「ふあっ…」 と声が漏れる。
それを聞いたゾロはニヤリと笑い、「おし。」 と、細いコックのカラダを軽々と肩に担ぎ上げた。
「…え…ちょ…」
「テメエもその気みてえだな」
反応していることをゾロに指摘され、カー!!
と顔面に血が昇る
「や、やめろバカ!!ヤんねえぞ!!」
慌ててジタバタ暴れるコックに
「ウルセエ!!テメエが悪い」
「意味わかんねえよ!!」
ゾロの肩に担がれながら降ろせだの死ねだのぎゃあぎゃあ喚いていると
「ん?ゾロまたさんじのケツにチンコ入れんのか?好きだなあおめえら」
通りがかった船長にまたまた破壊力のある一言を食らった。
「ル、ルフィ…!!違うんだこれは…!!」
(…ってゆってもも〜見られたんだった…!)
「今度は邪魔すんなよルフィ」
「オレ腹減ってんだ。サンジにメシ作ってもらわねえと」
「終わるまでまて」
「いやだ!!先にメシ食うんだ」
お互いドン!!
を背負ってアホすぎる言い争い。
その間肩に背負われたまんまのコックは、本日二回目となるダメージから当分立ち直れそうもなかった。
第610話妄想へ続く