2年後再会妄想



「どうだ釣れたか?」

ミホークがゾロのバケツをのぞく

「うむ、これなどムニエルにしたら美味かもしれぬな」

スズキをひっくり返し、満足そうに独り言をいう。

「おいテメエ…」

「なんだ」

「鍛えてくれっつってからずっとお前の晩飯釣ってるだけなんだがなっ!!」

「ロロノアよ…」

「貴様はウマイものを食べることで精神も安定することがわからんのか」

「おお良く焼けている」

今度は串焼きの魚を確認しはじめる。

「聞けよ人の話!」

(相変わらず何考えてるかわかんねえオッサンだぜ)

(…オレは強くなんなきゃいけねえんだ…んなことやってるヒマは…)

「うおっ!!」

ミホークが投げた竹串が飛んできた

「はやくせい」

「ああ!?」

「釣れた魚に刺さんか」

「しかし塩焼きにも飽きてきたぞ」

「フン…うちのクソコックがいりゃ色々作ってくれたんだろ〜が生憎だったな」

(…アイツの飯ずっと食ってねえな)

(今度会ったらオレが釣った魚でつまみ作ってもらいてえ)

「手が止まってるぞ」

「ああっ!ちゃんとやってんだろ〜が!!」

(クソ…釣りの次は板前修行かよ…)

(だが…次は負けるわけにいかねえ…)

そして二年後

「ああ?釣りがしてえだ?」

「テメエ寝惚けたこと言ってんじゃねえよっ!!」

「やっと再会したってのにまた迷子になる気もかよめんどくせ〜!!」

「つか釣りってなんだよ。」

「たった二年でいきなりジジイの趣味の域に達してんじゃねえ!」

(ったく二年たってもコイツの口の悪さは変わらねーな)

「お前、ジジイ好きじゃねーか」

と言ってやると

「好きじゃねえよ!!」

と怒鳴り返してきた

そして

「い〜からついてこい!!」

と、肩を怒らせて先を歩き出す

久々に会ったコックはなんだか微妙に様子が変わっていた

(なんつーか…ふわふわしてるっつーか…)

前を歩くコックの金髪がゆれるのをじっとみつめる

(うなじが良く見えねえ…)

だが締まりのよさそうなケツはああいかわらずだ。

「おい、誰にもさわらせてねえだろうな?」

「あん?」

コックが振り返る

「オレが戻るまで誰にもヤらせてねえか確認してんだ」

「はあ!?」

煙草を噛み締めたコックの顔がじわじわ赤くなる。

「んな、モノズキはテメエしかいねえっつの!!」

コックはそう言うと、ずんずん歩きはじめた
l
短い襟足から出たうなじを舐めるのが好きだった

コックもうなじを舐められると酷く感じるらしく、よくふんにゃりと体重を預けてきたもんだ。

舐めながらあちこち弄くられるのがたまらないらしく、白いカラダを震わせて達していた。

「…オレの許可なく伸ばしてんじゃねえよ」

「あ?なんか言ったか?」

コックが髪をふよふよさせて振り返る

ふわふわの頭と赤い顔が妙にガキくさい。

(まあ…これはコレでいいか…)

にしても

(会ったらすぐ釣れた魚でコイツにうめえもん作ってもらうつもりだったってのに)

(うまくいかねえもんだな)

しかもそのための一番乗だったりした

(まあ…これからいくらでも食えるからいいけどな)

「モタモタすんな!!も〜ちっと速く歩けねえのかテメエは!」

「ナミすわん達をお待たせしてんだぞ!!」

(とりあえず今夜はコイツを食おう)

「うるせえな!!バカコック!!」

オレはお約束のよーに怒鳴り返して足を速めた

その日の夜、麦藁海賊団の一行は、二年ぶりの再会に沸き立った。

サニー号のコックは久しぶりの甲板で、一服。

(んナミさんスゲーキレイになってたなあ)

(ロビンちゅわんは前より可愛らしくなってたし…)

「ああオレはなんて幸せなんだああ!!!」

地獄から解放され、今日何度メロメロ回転したことだろう

船長の海賊王宣言にも胸が熱くなった

(あのアホ剣士もメチャクチャ強くなってやがった…)

(あの傷…どーしたんだろ…?)

剣士の傷の事を思うたびに心臓がギュッと絞られたように痛くなる。

(目…かたほう見えねえのか…?)

(カマバッカ直伝のオレのメシ食わせればも〜ぜってえ死にそうな目になんて会わせねえのに…)

「あにしてんだ?クソコック」

「うあ!だからテメエは気配殺すんじゃねえよ!」

いつの間にか片目の剣士が背後に立っていた。

「テメエこそいつまで待たせんだ!」

「あんだと!うあ…!」

ゾロはコックを担ぎ上げ、のしのしと歩き出す。

「ちっとくれえ待てねえのかよ…」

「待てるか!」

「二年も待ったんだ」

その言葉に不覚にも胸がキュンとなる。

(…まだ風呂も入ってねえのに…)

剣士に担がれ、そっと肩のあたりの匂いを嗅ぐ。

(ゾロの匂いだ…)

今さらのように胸が熱くなる。

(ゾロ…)

「んっ…!んあっ…テメ…がっつきすぎ…!!」

「ウルセエ!余裕ね〜んだ…!!」

トレーニングルームに入るなり身ぐるみ剥がれ、ろくに解しもせず突っ込まれた。

「ずっと…テメエの飯とテメエ本体食ってやるって決めてたんだ…」

「え…」

そう告げたとたんサンジのソコがきゅうきゅうと締め付けてくる。

「くっ締めんな!イっちまうだろ〜が!!」

(だって…)

「ホントに…?誰とも…ヤってねえの…?んっ…!」

ゾロに突かれながら切れ切れに問いかける。

「たりめえだ!」

「オレは…も〜テメエで充分だ」

(マジか…)

(ゾロ…!)

白い手をのばすと荒々しくくちづけられた。

二年ぶりのキスだった。



                                                                                           




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