PK編ゾロ誕 2


サンジの姿を見るにつけ、何故か言い訳のように、言葉が頭を駆け巡るのを腹立たしく感じながら、雪の上を一歩踏み出すと、
がしゃりと刀と刀が擦れ合うような音がした。
同時に白い顔がこっちを振り返る。
自分に気付いたからではない。
あの男を慕うゴロツキ集団。
海軍の落ちこぼれの一人がコックに駆け寄ってゆくのが片方しかない視界に映し出された途端、腹の奥が冷えてゆくのを感じた。
「アニキ!!」
おそらくコックよりも10は年上に見える海兵は、心底傾倒したようすでまくしたてた。
「アニキのメシハンパねえっス!!」
「マジ天才」
「いやそれ以上っスよ!」
「どうすればあんなうめえもん作れるんだってみんな絶賛してます!」
コックは唇に端に煙草を咥えたまま、口元だけで薄く笑った。
何かを称えたようなその表情に海兵は一瞬目を奪われたように硬直して真っ赤になり
それを誤魔化すように足元に視線を落とした
「美人も真っ二つになっちゃどうしようもねえ…」
そう言って胸の辺りで十字を切る仕草をする。
コックの表情は相変わらず窺い知れないが、
二人の足元にあったはずのモネの死骸は、雪に覆われてすっかり見えなくなっていた。
昔はあの男を見ていると
自分が酷く冷酷無比な存在にでもなったような、そんな思いに囚われた。







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