PK編ゾロ誕 4


散々あの男の腹の中に精を吐き出したゾロは、ようやくズボンを引き上げた。

床の上にごろんと仰向けになっていたサンジはといえば、
自分の放ったものを始末することもなく。
長いまつげを伏せたまま
くしゃくしゃに丸まった毛布をたぐり寄せることもせずに
しばらく動かずにいた。
しっとりと濡れた
萎えたペニスもそのままに
白く骨ばった胸だけが上下している。

ゾロは腹が減っていたのを思い出し、傍らの酒を瓶ごと煽る。
飲んでみて、それが普段飲んでいる酒と違うのど越しに気づく。
サンジが持ってきたバスケットを覗くと、ゾロの好物ばかりが入っていた。
中に手を突っ込んで取ろうとして、低い声が室内に響く。

「性欲の次は、ようやくメシか」

「まあいいや」
サンジはうつ伏せになって、上着のポケットをごそごそ探る。
煙草をくわえ、火をつけた。

「てめえは、もし俺が敵に回ったら」
「迷わず斬れよ。」
「連れ戻したりしなくて、いいからよ」

突然サンジが紡いだ言葉にわずかに目を開く。
口元は笑った形を作っていたが、
その表情は、長い前髪に隠されてよくわからなかった。

(斬る?)

(この男を。)

考えたこともなかった。

勿論海賊には裏切りは付き物だ。

だがこの女好きがナミやロビンの敵に回るとは思えない。
そう言うとサンジは
「そりゃそうだ」

と真顔で答える。
「だがな」
「何があるかなんてわかんねえだろ?」
薄く笑う男を見て、無性に腹が立った。
グランドラインの航海で、迷いを持ったら終わりだ。
だから自分たちは迷わずロビンを追った。
こんなことを言い出す甘っちょろい野郎、いつくたばっても不思議はない。
サンジの強さは知っているが、その甘さと自己犠牲の精神だけはときたまゾロを酷く掻き乱す。






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