愛し合いされて生きるのさ1

初めて会った時、サンジはゾロに恋をした。

 

バラティエの船上から鷹の目との死闘を目の当たりにしたときに激しく魂を揺さぶられた。

 

まっすぐに野望を見据えるまなざしに強く惹かれた。

 

野望を達成する瞬間をみたくて、同じ船に乗った

 

 

 

だが、同じ船に乗ってからも、二人はケンカばかりで、ちっとも仲間らしくならなかった。

ココヤシ村で再会したときも、ナミにメロメロするさんじを見て、ゾロは心底軽蔑したように

「アホか」

と吐き捨てた

ゾロが自分を冷たい目で見たり、心底くだらない人間みたいに吐き捨てるたび、心臓が絞られるみたいに痛くなった。
 

(他の奴等には名前も呼んでるし、笑い合ったり仲間らしくしてるってのに。あいつは俺の名前も呼びやがらねえ。)

(仲間とも思われてねぇってことなのかな)

 

思いを伝える気はなかった。

 

ただ、ゾロがおかわりしてくれた料理を毎回出してあげたり、それを美味そうに食べているのを見たりするだけで充分だと思うようにしていた。
 

たまにうっかりゾロと目が合ってしまうと、

「ジロジロ見てんじゃねえよアホコック」

などと言われてしまうのでついつい

「誰がテメェなんか見るかよ。バーカバーカ」

と言い返してはケンカに発展し、その一方でそんなに自分は嫌われてるのかと、深夜一人ラウンジでヘコんだりしていた。

今夜もラウンジで洗い物をしながらため息をついていたコックに、ナミが声をかけた

「ねぇサンジ君」

「え?な、なんだいナミさん」

(ナミさんが居たのにもきづかねえって?どんだけまりもがすきなんだよ俺…)

サンジの動揺には気付かないふりをして、ナミが続けた

「明日には陸に着きそうなんだけど、買い出しにゾロ連れてってもいいわよ。」

 

「久しぶりだから補充したいものもたくさんあるでしょ?船には私が残るから。ちょっとやりたいこともあるしね」
 

ゾロの名前を出されてサンジの心臓が跳ねた

 いつだったか、陸におりたとき―
 

ゾロが女を買い、つれだって歩いてるのをみた

たくましい腕には、女のほっそりした白い手が絡み付いていた

  心臓がとまるかと思った

  ゾロに抱かれる彼女が羨ましくて視線が外せなかった

(キレイなひとだったな…)

(せっかくの上陸なのに、アイツがオレなんかと買出しに行くわけねえよ)

無意識に口元に自嘲ぎみな笑みが浮かんでいた

「ありがとナミさん。でもあんなアホ腹巻居なくっても俺一人で大丈夫だぜ」

ニコニコしながら応える

「―そう。サンジ君がそういうんならいいけど…」

  ナミがまだなにかいいたそうにしていたが

「何か飲み物でも入れようか」

 話を打ち切るかのようにコックがキッチンの棚からナミのカップを取り出した

「ありがと。じゃオレンジティーが飲みたいな」

  ナミが可愛らしくおねだりするとサンジもデレデレとなり、楽しそうにお湯を沸かしはじめた。

 

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