愛し合いされて生きるのさ2

 突然ラウンジの扉が開いた

「あら、ゾロ。あんたもまだおきてたの?」

 サンジの身体が緊張する

「おい、酒」

「ちょっと。サンジ君は忙しいんだからね、あんたと違って。」

ムッとしてナミがいさめると

「あぁ?勝手に取ったらコイツがウルセーからだろ」

「てめえ!ナミさんにむかってなんだその口の聞き方は」
 
サンジがラックから乱暴に酒をとりだしゾロになげつける。

「オラ、これもってとっとと俺とナミさんのスウィートキッチンから出ていきやがれ!!」

ゾロは片手で酒の瓶をキャッチすると

「ガーガーうるせえアヒルだな」
 
と不機嫌そうに吐き捨て、ラウンジを出て行った

(・・クソ。二回もウルセエとかいいやがって)

「・・サンジ君?」

 シャツの合わせの胸の部分をギュッとつかんでラウンジの扉を見つめていたら、眉を潜めてナミが声を掛けてきた

「あ、ごめんナミさん。すぐオレンジティーいれるから待ってて」

 にっこり笑ってシンクに向き直る。

だがナミが心配そうに自分を見ていた事には気づいていなかった

 翌日、一行は久しぶりの島に上陸した。
 
ゾロは昼過ぎまで寝ていたくせに、昼飯も食べずに船を下りていった。

 サンジが

「テメェ朝も食ってねえだろ。昼飯片付かねえよっ」

といっても

「ルフィがいるだろ。俺はいらねえ」

とバッサリ切って捨てられた

「サンジ~ゾロの飯あまったのか!?」

ゴム船長がキッチンに飛び込んで行く

タバコを吸いながら、ぼんやりと船の上からだんだん小さくなってゆくゾロの緑頭を見ていた。

海に吸い殻を投げ棄て、自分もキッチンへ向かった。

 キッチンに行くと、ゾロの昼飯はルフィにキレイに平らげられていた。

「うまかったか?」

「おう、うまかったぞ。さんじの飯メシはいつもスゲーうまいな」

ルフィがニシシと笑う

「・・そっか。まあ当然だけどな」

そう言ってサンジもニカッと笑った

「サンジ、さっきゾロ見てたのか?」

あまりにも唐突な問いに言い訳も出て来なかった

サンジが黙っていると、

「ゾロはカッコイイよな」

「…俺には負けるけどな」

「ニシシ。サンジもゾロが好きなんだな」

何と答えて良いかわからず困った顔のまま黙っていると、島のパンフレットを持ってチョッパーがラウンジにやってきた

「さんじ!この島めずらしい薬草がいっぱい売ってるみたいだ。買い出しあるなら俺付き合うぞ!」

「そうなのか?今日は下見だけにして買い出しは明日にしようと思ってんだけど」

「明日でもいいぞ。森の方に薬草が群生してる場所があるんだ。俺今日はそっちに行ってくる」

チョッパー楽しそうに言った

  せっかく申し出てくれたチョッパーには悪いが、今日は一人でいたい気分だった。

「明日の船番って誰だ?」

「明日はゾロだぞ。明日船番だから今日は戻らねえって言ってたぞ」

 ウソップの問いにチョッパーが無邪気に答える

(アイツ、また、きれいなお姉さまと一晩を過ごすんかな)

(・・胸がイテエ)

みっともなくて、情けなくてこんなに苦しいならもうゾロを好きでいることをやめてしまいたいと何度思ったか知れなかった

だがそのたびに、何度も見つめてきたゾロが闘う姿や自分以外の仲間に向けられた笑顔。甲板で居眠りする姿が浮かんできた。

 

 

 

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