愛し愛されて生きるのさ10

明け方、ナミが起きてくる前にと、死ぬ思いで起き出して風呂場に向かうと、ガーガー寝ていたはずのゾロが、後ろからついてきた。

そして、いいって言うのに、中のモノを無理矢理かき出されたりした。

そのままヤラれそうになったので、蹴り飛ばして逃げてきた。

 

シャツのボタンを留めながらあたふたとキッチンに入ってゆくと、すでにナミが椅子に座っていた。

風呂から出たばかりなのに、背中にじんわりと汗がにじむ。


「…お、おはようナミさん…コーヒー入れようか?」


ナミがにっこり笑う。

「おはようサンジ君。お願い。」

サンジがナミのカップにコーヒーを注いでいると、荒々しく扉が開き、ゾロが不機嫌そうな顔で入ってきた。

シカトしていると

「ああら珍しい。あんたにしてはずいぶん早起きね」

「ああ??」

ゾロがじろりと睨む

「私、一睡もできなかったからまた寝なおそうかしら?」


「…え?一睡もって…」


サンジが硬直した。

ごくりとつばを飲み込む。

「あ、あのナミさん、朝まで海図かいてたの?」

ナミはコーヒーを一口飲み、

「それが、気が散って書けなかったの」

かわいらしく告げるナミに言葉を失う。


「聞いてたのかよデバガメ女」



「聞いてたんじゃないわよっ!聞こえてきたのよ!!」


ナミは、サンジの入れたコーヒーを飲み干すと、


「ごちそうさま。昼過ぎまで寝るから朝食は結構よ」


「今度邪魔したらぶっ殺すからね」

そう言ってさっさと自分の部屋に入ってしまった。


サンジはといえば目の前のやりとりにダメージを受け、呆然としたままだ。

ちょっと心配になり


「おい、大丈夫か?」

 

「やっぱナミさん起きてたじゃねぇか!」

サンジが涙目でゾロのジジシャツの胸ぐらを掴んだ

「あ~なんかそうみてえだな…」

「そうみてえじゃねぇよ!ど~すんだよ」

「しょうがねえだろ聞かれちまったもんは。俺にもコーヒー」

サンジはゾロの分もカップに注ぎ、テーブルにダンと置く。

「あ~もう俺ナミさんの顔当分見れねえよ~」

「ナミナミってウルセェな。いいからお前もコーヒー飲んで落ち着け」

ゾロがサンジの淹れたコーヒーを美味そうに飲んだ。

それを見たらまたちょっと嬉しくなって、口を尖らせつつも自分のコーヒーも淹れた。

(こいつと初エッチの朝二人でコーヒー飲むなんて…思いもしなかったぜ)

サンジがズズっとコーヒーをすすると、ゾロが自分をじっと見ていた。

 

 

「なんだよ」

「お前…俺のもんになったんだよな」

「…」

「またヤルからな」

「…お前は、そればっかかよ…」

サンジが恥ずかしそうに呟く。

「まだまだやり足りねえからな」

「あんだけヤッたのにどんだけ溜まってんだ」

「しょうがねぇだろ。お前見てたらいくらでもヤリたくなんだからよ」

ゾロが大真面目に言ってきた。

(なんだよコイツ…)

今まであれだけ素っ気なかった男から、独占欲丸出しで色々言われ、どうしていいか判らず、真っ赤になって下を向く。

ゾロはそのちっさな顔を自分のほうにに向けると、唇にキスした。

サンジもゾロのハラマキをぎゅと掴んでキスを返すと、頭を捕まれて舌を入れられた。

また火が憑きそうでヤバいと思ったが、キモチ良くて止められない。

(ごめんナミさん)

ゾロの肩に手を回してサンジも舌を絡ませた。

 

二人がキスに熱中してると、腹をすかせた船長が、突然キッチンに飛び込んできた。


「サンジ―っっ!!腹減った―!!」


慌ててゾロを引き離す。

 

またしてもいたたまれないキモチのまま

「…まだ出来てねぇから…大人しく待ってろっ」

とだけ言った。

顔が熱い。

二人に背中を向け、朝食の準備をはじめた。

「ニシシ。サンジやっぱりゾロが好きだったんだな」

ルフィから声がかかったが、昨日同様に黙っていると、

「おう。俺のだからとんなよ」

とゾロが言った。

それを聞いて、ゾロを甲板まで蹴り飛ばしそうになったが、ナミの睡眠を邪魔するわけにもいかず、なんとか踏みとどまる。

 

色々あったが、今朝はサンジの人生で信じられないくらい幸せな朝だった。


(とりあえずケビンに報告しとくか)


『欲しいモノ手にいれたぞ』 ってな。


(洗剤セットもらえっかもしれねえしな)


サンジはそう胸の中でつぶやくと、幸せそうに笑った。

〔完〕

 

 

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