明け方、ナミが起きてくる前にと、死ぬ思いで起き出して風呂場に向かうと、ガーガー寝ていたはずのゾロが、後ろからついてきた。
そして、いいって言うのに、中のモノを無理矢理かき出されたりした。
そのままヤラれそうになったので、蹴り飛ばして逃げてきた。
シャツのボタンを留めながらあたふたとキッチンに入ってゆくと、すでにナミが椅子に座っていた。
風呂から出たばかりなのに、背中にじんわりと汗がにじむ。
「…お、おはようナミさん…コーヒー入れようか?」
ナミがにっこり笑う。
「おはようサンジ君。お願い。」
サンジがナミのカップにコーヒーを注いでいると、荒々しく扉が開き、ゾロが不機嫌そうな顔で入ってきた。
シカトしていると
「ああら珍しい。あんたにしてはずいぶん早起きね」
「ああ??」
ゾロがじろりと睨む
「私、一睡もできなかったからまた寝なおそうかしら?」
「…え?一睡もって…」
サンジが硬直した。
ごくりとつばを飲み込む。
「あ、あのナミさん、朝まで海図かいてたの?」
ナミはコーヒーを一口飲み、
「それが、気が散って書けなかったの」
かわいらしく告げるナミに言葉を失う。
「聞いてたのかよデバガメ女」
「聞いてたんじゃないわよっ!聞こえてきたのよ!!」
ナミは、サンジの入れたコーヒーを飲み干すと、
「ごちそうさま。昼過ぎまで寝るから朝食は結構よ」
「今度邪魔したらぶっ殺すからね」
そう言ってさっさと自分の部屋に入ってしまった。
サンジはといえば目の前のやりとりにダメージを受け、呆然としたままだ。
ちょっと心配になり
「おい、大丈夫か?」
「やっぱナミさん起きてたじゃねぇか!」
サンジが涙目でゾロのジジシャツの胸ぐらを掴んだ
「あ~なんかそうみてえだな…」
「そうみてえじゃねぇよ!ど~すんだよ」
「しょうがねえだろ聞かれちまったもんは。俺にもコーヒー」
サンジはゾロの分もカップに注ぎ、テーブルにダンと置く。
「あ~もう俺ナミさんの顔当分見れねえよ~」
「ナミナミってウルセェな。いいからお前もコーヒー飲んで落ち着け」
ゾロがサンジの淹れたコーヒーを美味そうに飲んだ。
それを見たらまたちょっと嬉しくなって、口を尖らせつつも自分のコーヒーも淹れた。
(こいつと初エッチの朝二人でコーヒー飲むなんて…思いもしなかったぜ)
サンジがズズっとコーヒーをすすると、ゾロが自分をじっと見ていた。
「なんだよ」
「お前…俺のもんになったんだよな」
「…」
「またヤルからな」
「…お前は、そればっかかよ…」
サンジが恥ずかしそうに呟く。
「まだまだやり足りねえからな」
「あんだけヤッたのにどんだけ溜まってんだ」
「しょうがねぇだろ。お前見てたらいくらでもヤリたくなんだからよ」
ゾロが大真面目に言ってきた。
(なんだよコイツ…)
今まであれだけ素っ気なかった男から、独占欲丸出しで色々言われ、どうしていいか判らず、真っ赤になって下を向く。
ゾロはそのちっさな顔を自分のほうにに向けると、唇にキスした。
サンジもゾロのハラマキをぎゅと掴んでキスを返すと、頭を捕まれて舌を入れられた。
また火が憑きそうでヤバいと思ったが、キモチ良くて止められない。
(ごめんナミさん)
ゾロの肩に手を回してサンジも舌を絡ませた。
二人がキスに熱中してると、腹をすかせた船長が、突然キッチンに飛び込んできた。
「サンジ―っっ!!腹減った―!!」
慌ててゾロを引き離す。
またしてもいたたまれないキモチのまま
「…まだ出来てねぇから…大人しく待ってろっ」
とだけ言った。
顔が熱い。
二人に背中を向け、朝食の準備をはじめた。
「ニシシ。サンジやっぱりゾロが好きだったんだな」
ルフィから声がかかったが、昨日同様に黙っていると、
「おう。俺のだからとんなよ」
とゾロが言った。
それを聞いて、ゾロを甲板まで蹴り飛ばしそうになったが、ナミの睡眠を邪魔するわけにもいかず、なんとか踏みとどまる。
色々あったが、今朝はサンジの人生で信じられないくらい幸せな朝だった。
(とりあえずケビンに報告しとくか)
『欲しいモノ手にいれたぞ』 ってな。
(洗剤セットもらえっかもしれねえしな)
サンジはそう胸の中でつぶやくと、幸せそうに笑った。
〔完〕