僕らが旅に出る理由5
(アイツが俺の作ったドリンク飲んでるとこみてえ。どんな顔して飲んでんだろな。)
実は昨夜ゾロを待っている間、いつもよりカラダに吸収しやすい成分を含んだドリンクのレシピを思いついたので、早速作り置きしておいたのだ。
そんなことを思っていたら、背中に熱を感じて思わず振り向く。
いつの間にゾロが真後ろに立っていた。
「な、なんだテメエ。いきなり背後に立ってんじゃねえよ」
どぎまぎしながらも平静を装う。
「テメエが隙だらけなんだろ」
「…は?」
「そんなんだから俺に簡単にヤラれんじゃねえのか」
昼間から信じられない事を言われた気がして思わずゾロの顔をみた。
不機嫌そうな顔だった。
「大体テメエなんで黙ってヤラれてんだ」
凍りついたまま固まって動かないサンジに
「チッ」
と舌打ちすると、
「ごっそさん」
と言ってシンクにグラスとよもぎ饅頭を乗せた皿を置いて出ていってしまった。
さんじはじわりと下を向いて、ゾロが置いたグラスと皿を見つめ続けた。
その日は夕飯の時間になってもゾロは姿を見せなかった。
「ゾロにメシだぞって言ったけどいらねえっていうんだ」
「そっか…」
「メシの時間守らねえで運動ばっかするのは身体によくねえんだぞって言ったのに」
チョッパーがかなしそうに言う。
「いいよほっとけ。はらへったらくるだろ」
チョッパーの頭をぽんと叩く。
「さんじ〜ゾロのぶんくってもいいか?」
「おう、好きにしろ」
ルフィの声に無意識に返事を返す。
顔ではニコニコ笑っていたが、キモチはギシギシ痛みっぱなしだった。
隙だらけだからヤラれたんだって言われた。
(まあ確かに最初はベロベロだったしな)
(でも…仲間なんだから隙あんの当たり前だろ?)
なんで黙ってヤラれてんだとも言われた。
(…んなの俺だってわかんねえよ)
だったらゾロをキモチよくさせたくて頑張ってる自分の姿はさぞかし滑稽に見えただろう。