僕らが旅に出る理由8
サンジが
「ヤだね」
と、答えると
「んじゃ好きにするぞ」
と言って背中から抱きしめてきた。
(なんだコノヤロー。人にあんな事言ったくせに結局ヤんのかよ)
(クソムカつく)
(さっきの手があんまり優しかったから勘違いしそうになった。アブねぇアブねぇ)
(昼間あんな風に言われたばっかなのにオレも甘ェよな…)
ゾロがサンジの髪に顔を埋めるように抱き込んでいる。ゾロの匂いがした。
「…汗くさいんですけど」
「テメエ好きだろそ〜ゆ〜の」
「ハァ?どこのタラシだテメェ」
手がシャツの中に入ってくるのを肘で阻止する。
「ヤんねえぞ」
「あ?好きにするっつっただろ」
ゾロの手がサンジの胸をまさぐってきた。
「ヤメロ」
身体を捩って嫌がる仕草に興奮して、首筋に口づけたら、サンジが振り向いてゾロをキッと睨んだ。
「俺をバカにしてんのか!?」
「あ?別にバカにとかしてねえ」
「テメェ昼間なんつったかもう忘れたのか?」
「お前だって使うのに便利だからヤってるだけだろ!!俺ならどんだけやっても壊れねーし妊娠もしねぇからな」
自分で言いながら心がミシミシ痛む。
「ちげーよアホ」
「何が違うんだよ。だったらテメェこそなんでオレをヤんのか言ってみろよ!」
ゾロにいちばん聞きたかった言葉を叫んだ。
すると、
「んなの惚れてるからに決まってんだろっ!!」
ゾロが顔をどす黒く染めて怒鳴り返してきた。
突然な展開にサンジは言われた言葉の意味を理解出来ずにしばらく固まっていた。
「……な、何いきなり告ってんだ…溜まってっからってテキトーなことゆーんじゃねー・・」
「じゃなきゃ男となんかヤるわけねえだろ」
剣士の顔はどこからどーみても大まじめだ。
(…マジか?)
(ロロノアゾロが俺に惚れてるって)
「じゃ…昼間のありゃなんだ?いきなり人をインランみてーに言いやがって」
そーだあれにはサンジはいたく傷ついたのだ。
「アレは…あのまんまだ」
「ああ?」
「ホントにテメーがなんで俺とやってんのか知りたかっただけだ」
ばつが悪そうにゾロが言った。
(…そうなのか?んじゃ俺の事ケーベツしたとかじゃねーんだ…)
あからさまにホッとした顔を見せてしまった。