僕らが旅に出る理由7
サンジの髪に触るとさらさらした感触がキモチいい。ぴかぴかした丸い頭を撫でていたら、ゾロのゴツい手に猫みたいにすりよってきた。
とりあえず力を失った細い身体を肩にかつぎあげた。
ゾロが格納庫に放り投げてもサンジは目を覚まさず「う〜ん」っと唸って丸まってしまった。
「コラ、こっち向け」
顎を掴んで自分の方を向かせ、顔をピタピタ叩く。
ようやく蒼い目がうっすらと開いた。
目の前には不機嫌そうに眉間にシワをよせた緑の頭の男が。
「起きたか」
「…ゾロ」
「ったくこんなんなるまで飲んでんじゃねえよアホ」
大きな手がサンジの頬をなでる。
ギコチないが優しい感触だった。
(ゾロが…俺に触ってる)
それだけで涙が出そうだった。
(俺も触りてえ)
サンジは白い手をゾロの緑の頭に伸ばした。
ゾロのサクサクした髪に触るのがキモチ良かった。
「てめえハラへってねえの?」
「…へった」
「なんでもいいか?」
起き上がろうとすると
「いいからねてろ。」
肩を押されてまた床に寝かされた。
(あれ?なんか背中固くねえ)
下をみるとマットのようなものが敷かれていた。
「どうしたんだこれ?」
「親切なヤツがいてくれた」
「はあ?」
「前に敵襲あっただろ。そんときもらってきた。」
「敵襲って…何ヶ月前だよ?つかもらったんじゃなくて獲ってきたんだろ」
「まあな」
ゾロがニヤリと得意気な顔をした。
(あ〜コイツのこ〜ゆ〜顔可愛いなクソ。)
(女の子だったらこの顔みて母性本能擽られたりすんだろな)
「なにみてんだ」
「べつに〜」
サンジは口元を笑いのカタチにしたまま横を向いた。
「つうか、こんなのあんならもっと早く出せよな」
「忘れてた」
「ウソつけ。出すのめんどくさかっただけじゃね〜の?」
「ちげーよっ!」
「オレの背中がどうなろ〜とテメエは自分がガンガンやれりゃいいんだろ〜けどな。」
「たまには忙しい中テメエの下の世話までしてやってるコックさんに気ィ遣えっつーの」
そう言って横になったまま丸まった。
するとゾロもサンジの隣に片手枕で寝そべり、エラそうに、
「テメエこっち向け」
と言ってきた。